【会話で深く理解】外国人の受入れと居住区を分けることについて(曽野氏のオピニオンをめぐって)
2015年2月20日- RIE
- Taka先輩、久しぶりです。
お元気でしたか? - Taka
- 元気だよ!
RIEちゃんも相変わらず元気そうで。 - RIE
- 元気ですけど、RIEは今怒っているんです。
- Taka
- え~と、ごめん。
- RIE
- え?
なんで先輩が謝るんですか?! - Taka
- いや、なんか僕が悪いことしたんじゃないかな、と思って・・・
- RIE
- 違います、先輩に怒っているんじゃないですよ。
2月11日の産経新聞に載っていたあるオピニオンについてRIEは怒っているんです ゛(`ヘ´#) - Taka
- ん?
あぁ~、今ネットを中心に論争を巻き起こしているあの記事ね。 - RIE
- そうなんです。
あの方、日本でアルバイトを導入すべきと言っているじゃありませんか! - Taka
- えっ?
そうだったっけ?!
(アルバイトはもうすでに日本にあるんだけどなぁ・・・。アパルトヘイトのことだろうなぁ~) - RIE
- 皆、そう言っていますよ!
- Taka
- RIEちゃんは、読んだの?
- RIE
- え~と・・・
直接読んではいませんけど? - Taka
- まずは、自分で読んでみなくちゃ!
他人が言うことを鵜呑みにしたら後で自分が痛い目を見るんだよ!
他人のフィルターを通した評価ではなく、自分自身で判断して評価しなくちゃ! - RIE
- ・・・
そうですねヾ(_ _。) - Taka
- ということで、原文を持っているので、まず文章を分析してみようか?
- RIE
- な、なんで、原文を持ち歩いているんですか?Taka先輩!
- Taka
- 僕も気になっていたからね。
- RIE
- (気になったら持ち歩くんだ?)
- Taka
- まず、このオピニオンは大きく2つのことを言っているんだ。
1つ目は、労働力補充のために労働移民を認める必要がある、ということ。
そして、一番問題とされているのが、
2つ目の、居住区だけは、白人、アジア人、黒人というふうに分けて住む方がいい、と思うようになった。(産経新聞2月11日、7面オピニオン 曽野綾子の透明な歳月の光 ■629『労働力不足と移民』)
ということ。
- RIE
- ほら、やっぱりアパルトヘイトを勧めているじゃないですか!
- Taka
- まぁ、まぁ、もう少し、丁寧に分析してから判断しようよ。
- RIE
- 冷静にしていられません。
って言うか、Taka先輩はなんでそんなに冷静なんですか?
はっ!
もしや、曽野氏の意見に賛成とか? - Taka
- 賛成するにも反対するにも、まずは、どういう理由で何をどう言っているのか、をしっかりと分析してからじゃないと評価しようがないと思うんだけど?
- RIE
- まぁ、そうでしょうけど・・・
- Taka
- ということで、丁寧な分析をしてみようよ!
1行15文字で、77行のオピニオンだから、1155文字が上限の文章になっている。
そして、居住区を分けることについては、37行を費やしているから、大体全体の半分で500字くらいかな。 - RIE
- そこからですかぁ~。
丁寧すぎませんか? - Taka
- 他者を批判するんだったら徹底的に分析してからじゃないと、自分が恥をかくよ。
- RIE
- はぁ・・・( ̄_ ̄|||)
- Taka
- 1つ目の意見は、
・(a)労働移民の受け入れ要件を緩和すること
・(b)移民としての法的身分を厳重に守るように制度を作るべきこと
について書かれてある。 - RIE
- そうですね。
しかし、(b)はなんのことですかね?
曽野氏が言っている「移民としての法的身分」ってどういう身分なんでしょうかね? - Taka
- 僕も分からないなぁ。
まぁ、そのことは後で検討してみよう。
一応、1つ目については特に検討しないでも良いのかな? - RIE
- そうですね。
今回は、2つ目のアパルトヘイトの勧めについてだけ検討しましょう。 - Taka
- いや、だから、結論ありきじゃダメなんだって・・・
- RIE
- ・・・
とにかく、続きをしましょう。 - Taka
- じゃ、2つ目の居住区の別について検討しよう。
ここでは、曽野氏は、20~30年前に知った南アフリカ共和国の実情を書いている。 - RIE
- そうですね。
南アのヨハネスブルクにあったあるマンション、以前は白人専用だったそうですが、その集合住宅に、人種差別廃止後、黒人が住むようになって間もなく、白人と黒人の共同生活が破綻したという事実の紹介ですね。 - Taka
- うん、そうだね。
- RIE
- 大家族主義の黒人がそのマンションに住むことで、そのマンションが水栓から水のでない建物になった、その結果、白人が逃げ出した、というエピソードを持ち出して、だから、
居住だけは別にした方がいい
という主張をしているんです。
でも、全ての南アのマンションでそういったことが起こったんですか?
そもそもそんな事実が本当にあったんですか?
もっとも、そのような事実があったとして、曽野氏のような主張は当然には出てきませんよ。 - Taka
- まぁまぁ、RIEちゃん、怒らない怒らない。
リラックス、リラックス!
ゆっくり検討しよう。
まず、事実の確認は我々が今することはできない。
曽野氏がいう事実があったということにしておこう。
文章で公にしている以上、本当にあった事実と考えても良いと思う。
今、僕たちが検討するのは、曽野氏が主張する事実があったとして、居住区を別にするという主張が出てくるのかどうかだ。
いや、ちょっと待って!
そもそも、曽野氏が居住区を別にすることが正しいと言っているのかどうかを検討したほうがいいかもしれないよ? - RIE
- えっ?
いやだって、このオピニオンの最後で言っていますよ。人間は事業も研究も運動も何もかも一緒にやれる。しかし居住だけは別にした方が良い。
って。
「良い」っていうわけですから、正しいと考えていると思いますよ。 - Taka
- そうだとして、何故曽野氏はそう考えているのだろう?
- RIE
- え~~!
何でそこまでRIE達が考えないといけないんですか? - Taka
- だ・か・ら、
相手がどういう根拠に基づいて意見を言っているかを知らずして相手を批判することはできないからだよ。 - RIE
- ふ~ん。
あんまり考えたくないですけど・・・ - Taka
- まぁ、まぁ、そう言わずに。
何故、曽野氏は
「居住だけは別にした方がいい。」
と言ったのだろう? - RIE
- 外国人が嫌いだからなんじゃないですか(`ヘ´)
- Taka
- それじゃ、分析したことにはならないよ~。
RIEちゃんが、曽野氏の挙げているマンションの住人(白人)だったとしよう。
そのマンションにRIEちゃんとまったく生活習慣の違う黒人が引っ越してきた。
水栓から水が出ないマンションに住むことになったわけだ。
RIEちゃんだったらどうする? - RIE
- えっ?
それは文句を言います。 - Taka
- そうだね。
でもそれでも聞いてくれなかったら? - RIE
- 出て行きます。
- Taka
- 多くの人は、自分が白人の立場だったらそのマンションから出て行くという選択をするだろうね。
- RIE
- でもそれは黒人が悪いじゃないですか!
彼らが言うことを聞かないならこっちが出て行くしかないんですよ! - Taka
- 習慣を直すのって大変だと思うよ。
たとえば、RIEちゃんは納豆が好きだよね。
同じマンションの外国人が納豆のにおいが大嫌いだからマンション内では納豆を食べないでくれ、ってRIEちゃんに言ってきたらどうする? - RIE
- え~~、納豆のない生活なんて考えられません。
あんな美味しい食べ物を嫌いというその外国人がおかしいんですよ。 - Taka
- さっきの白人と黒人のマンションでの共同生活も同じだよ。
黒人からすると、大家族主義じゃない白人の習慣がおかしい、ということになるはずだ。 - RIE
- ・・・
- Taka
- 生活習慣や文化が著しく異なる外国人を理解することがどれほど難しいことか!
同じ日本人であっても理解し合えない人がいるんだから外国人を理解することは並大抵のことではないだろうな。
自分の文化や習慣を捨てる覚悟がないと理解することはできないのかもしれない。 - RIE
- それはそうかもしれませんけど、「郷に入っては郷に従え」です。
- Taka
- そういう諺があるけど、現実はなかなか無理だろうな。
だって、ウチナーンチュ(沖縄出身者)だって、県外や国外で、県人会を結成している。
これは、沖縄文化を忘れないためだったりする。
彼らが今いるその土地の風習や文化に染まりきることが人は怖いんだと思うよ。
自分が自分でなくなるような気がして。 - RIE
- はぁ、まぁ・・・
- Taka
- そういう現実を考えると、日本の習慣や文化を権力を使って外国人に押しつけることに躊躇を感じる人も多いんじゃないかな?
もし押しつけると「同化政策」ということになって逆に大問題だ。
かといって、外国人の習慣や文化を尊重すると、外国人と共同生活をするのはとても大変なことになるはずだ。 - RIE
- だからって居住を別にすべきとはRIEは思いません。
- Taka
- 僕も、規範的にはRIEと同意見だよ。
ただ、曽野氏が挙げている事例で、白人の立場にある人のほとんどは、その白人と同じ行動を取るだろうね。
つまり、引越しをするはずだ。
自然と白人は白人同士で、黒人は黒人同士で住むことになっていくんじゃないかな?
スラム街と呼ばれるところだって、初めからスラム街ではなかったはずだ。
所得の少ない人がたまたま少し多かった、そこに似た所得の人達が少しずつ集まってきて、所得の高い人は治安に不安を覚えて、その地域から出て行き、所得の低い人がその地域にやってきて、といったことを繰り返してスラム街が形成されたはずだよ。 - RIE
- でもそれはアメリカとかの話ですよね?
日本にはスラム街はないでしょうし。 - Taka
- スラム街はないかもしれないけど、東京の白金とか、所得の高い人達が住む場所が日本にだってある。所得の高い人は所得の高い人達で集まる傾向があるんだと思うよ。
それは、外国人でも日本人でも違いはないだろうね。
人間は、本音では自分とは生活習慣とか文化が違う人達とは共同生活をしたくないと思っているんじゃないかな? - RIE
- だからと言って、曽野氏のように居住を別にすべきだとはRIEは思いませんけど。
- Taka
- ここまで来ると、人間観の問題になってくると思うんだよ。
曽野氏は、現実の人間を冷静に見つめているんだと思うよ。
習慣、文化、言語などが異なる外国人と共同生活をすることは普通の人間には困難だ、だから外国人と共生していくためには、「居住だけは別にした方がいい」と言っているのだと思う。「適度な距離」保ち受け入れを
という曽野氏の言葉に曽野氏が一番言いたいことが現れていると思う。
- RIE
- でもでもでも、現実ばかりを言っては人間進歩しません。
現状肯定論ばかりだと後退していくだけですよ。
適度な距離を保つための手段が居住区の別だなんてお粗末ですよ!
どうすれば、習慣、文化、言語が違う外国人と上手く共生していけるのか?その意識は常に持つべきなんじゃないですか?
人間は、さらなる上のステップを目指すべきです。 - Taka
- 僕もRIEちゃんに賛成だ。
曽野氏もそのことは否定しないはずだよ。
ただ、曽野氏は、そのステップに進む前に、現実の人間を見よう!と言っているのだと思う。
たとえば、自分が他人を苛めている意識を持たない人と持っている人とでどちらが改心することができるだろう? - RIE
- それは苛めている意識を持っている人ですよね。
苛めているという意識があれば少しは罪の意識があるでしょうから。 - Taka
- たぶんそうだろうね。
それと同じで、自分が理解できない他者を本当は排斥しようとしているんだ、という認識を持つことがさらなる上のステップに進むために必要なんだと思うよ。
そこを曽野氏は主張しているように僕には思えるんだ。
ホントの所は知らないけどね。
ただ、このオピニオンをそういう風に読めば我々はもっと建設的な議論をすることができるんじゃないかな? - RIE
- でもちょっと待ってください。
さっきの話ですけど、曽野氏は、移民としての法的身分は厳重に守るように制度を作らねばならない。
と主張していました。
そこで言う、「移民としての法的身分」って、外国人の身分には居住制限が伴うという含意を持っているんじゃないですか?もしかして・・・ - Taka
- あ~、なるほどねぇ。
条件を納得の上で日本に出稼ぎに来た人たちに、その契約を守らせることは、何ら非人道的なことではないのである。
と言っていることとも照らし合わせてみると、あり得ない話ではなさそうだね。
しかし、あまりにも言葉が足りないので何とも言えないなぁ。
そもそも、このような大問題をたったの1000文字くらいで書こうとすることに無理があるだろうな。
その意味で、曽野氏はチャレンジャーだと思うよ。
僕だったら怖くて書けない! - RIE
- 普通は書けませんよ。
何と言ってもアパルトヘイトを勧める主張と受け取られる可能性が高い文章なんですから。
Taka先輩は、このオピニオンを善意解釈しすぎです! - Taka
- そうかもしれないけど、このオピニオンをきっかけに外国人と共生するためにはどうしたら良いのか?
現実の人間を踏まえた議論が深まると良いなぁと個人的には思うよ。 - RIE
- なるほど、そう考えると建設的な議論ができそうですね。
Taka先輩と話してすっきりしました。
ありがとうございます。
今度は、RIEが先輩に恩返しをしますよ。
何が良いですか? - Taka
- あっ、じゃあ、カラオケに一緒に・・・
- RIE
- 先輩、カラオケ好きなんですか?
だったら、RIEがもっているカラオケマイクを貸してあげます。
マイクにカラオケの音楽が入っていて1人カラオケができるんですよ。
明日持ってきますね。
あっ、もうこんな時間、帰らなくっちゃ。
じゃ、先輩、また明日~~! - Taka
- あっ、あぁ、また明日・・・
・・・1人カラオケって楽しいのか・・・?
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