個人主義って?

個人主義って?

2014年6月12日 0 投稿者: 行政書士 真栄里 法務事務所

 
 
約1600文字(読了≒2分35秒)

私服が多いアメリカ

アメリカは制服をつける職業があまりないように感じました(警察や消防は制服ですが)。
たとえば、Fax送信のために訪れた宅配業者では、職員は皆、私服でした。お客か職員か不明です。名札も付けていなかったです。
あと、弁護士事務所の職員も私服でした。ジーパンに胸元の大きく開いたシャツという(目のやり場に困る)日本では間違いなくボスに怒られる格好です。
歯医者でも同じでした。
年金事務所(役所です)の職員も私服です(スーツではありません)。
ところが、スーパーの職員の方がスーツだったりします。 よくわかりません。

自己主張の強いアメリカ人

制服という画一的なものはアメリカにはなじみにくいんだと感じました。各人の自己主張がかなり強いのです。
「I think ~~」 「I think ~~」 互いに自己の意見を曲げない(人が多い)ので、意見が異なれば、「あっ、そう」という感じで、終わりです。 つまり、それ以上の付き合いはしないということです。
「あの人はそういう人なんだ」 「この人はこういう人なんだ」 ということで、相手との距離を測っている感じです。
アメリカ人がよく言うことばのひとつに 「I don’t care.」(私には関係ないよ) 「you don’t care.」(あなたには関係ないだろ) というものがあります。
それを言われたらそれまです。 色々なことが人ごとです。 これが、個人主義の発達したアメリカの現状の一部のように思います。

「個人主義」の分析

個人主義にいう「個の尊重」はとても重要です。
しかし、上の状況は、「個の尊重」とは違う気がします。
「個の尊重」とは、

  1. 「個」の
  2. 「尊重」

に分けられます。
(1).「個」とは、各人が全体の一部ではないこと、つまり、各人に違いがある(違いの存在)ことだと思います。
そして、
(2).個の「尊重」とは、各人の違い(=「個」)を「尊重」することです。
「尊重」とは、

(A)自分と異なる他者の存在を認めた上で(違いの存在の認識)
(B)その他者を自分と同じ存在者として扱う(相互理解)ことだと思います。

そうすると、 「個の尊重」とは、自己と異なる他者が存在し、その違いを認めた上で、その違いを理解しあうことをいうのだろうと思います。
しかし、上の状況は、各人の違いを理解しあうのではなく、自己と他者との違いを認識して敵か味方かを判断しているだけのような気がしてなりません。本当の個人主義ではない気がします。
もちろん、アメリカ人の多くは、各人に違いがあることを十分に認識しています。上の

(1)違いの存在 、
(2)(A)違いの存在(=(1))の認識、
   (B)相互理解 での位置づけで言えば、 アメリカは、(1)と(2)(A)までは確実に押さえています。

日本は今どの段階?

日本もアメリカと同様に個人主義の憲法ですから、法の世界では
(1)は大前提として存在しています。
しかし、日本は、アメリカと異なり、
(2)(A)は押さえられていないと個人的には感じています。
未だに、各人は全体の一部だとの暗黙の了解があるように感じます。自分(多数派)と異なる他者(少数派)の存在を認めない(認めたくない)という社会通念が根強いのではないでしょうか?
(2)(A)を押さえているアメリカとは、その点で雲泥の差が既にあります。単一民族国家だと日本人が思っているが故に、
(2)(A)を押さえることができないのではないか?とも思います。
アメリカは多民族国家ですから、嫌でも違いの存在を認識せざるをえません。
環境が人間の思考に与える影響は大きいものがありますから、日本もアメリカのように多民族国家にならない限り、
(2)(A)の段階に至るのは大変かもしれません。
どういった手段によるにしろ、日本も早く、
(2)(A)の段階に達して、さらに
(2)(B)の段階に到達するように頑張らなくてはならないと思いました。