一問一答・時事問題かいせつ<1票の格差を巡る裁判の本質>

2014年12月27日 0 投稿者: 行政書士 真栄里 法務事務所

Q:1票の格差って何ですか?1人1票はあるんですよね?

1人1票は保障されています。これを数的平等と言います。
ここでの1票の格差とは、“1票の価値の格差”のことなんです。

Q:1票の価値の格差って何ですか?

1人1票でも、その価値に重みの違いがあるということです。

Q:価値の重み?よく分かりません。

たとえば、大学のミス・キャンパスの選考で考えてみましょう。
候補者A・B2人から1人を選びます。
選び方は、4学部が各学部ごとに1票を投じる方法です。
合計4票から多数決で決めます。
今、
W学部=40人
X学部=20人
Y学部=10人
Z学部=80人
という人数だったとします。
WXYがそれぞれAに1票ずつ投票し、
ZはBに投票した、
とします。
一問一答(投票価値の平等)
そうしますと、Aが3票を得たのでAが優勝しますね。
Bさんは1票しか得られなかったので準優勝です。

Q:Bは80人の支持を得ていたのに何かおかしくないですか?

そう思いますよね?
たしかにAが優勝したのですが、AはWXYの学部生合計70人の支持しか得ていません。
しかし、Bは80人の学部生の支持を得ていたのです。
それなのにBではなくAが優勝した!
それが1票の価値の重みの違いなのです。
WXYの1票の価値とZの1票の価値は明らかに違いますね。
具体的には、
W:Z=2:1
X:Z=4:1
Y:Z=8:1
ということになります。

Q:選挙での投票にもそうした価値の違いがあるんですね?

そうです。
2014年11月26日に、最高裁判所は「1票の格差」が最大4.77倍だった2013年7月の参議院選挙を違憲状態であったと判断しました。
4.77倍ですから、上の例でいうと、
X学部(20人)とZ学部(80人)の1票の価値の重みの違いよりも大きな違いになりますね。

実際の選挙だと1票の価値の格差はどう現れますか?

たとえば、甲選挙区で当選したaさんと乙選挙区で当選したbさんがいたとします。
甲選挙区の選挙人は60万人
乙選挙区の選挙人が240万人
だったとします。
この場合
甲:乙=4:1
という価値の格差がありますね。
これから明らかなように、甲選挙区の選挙人の1票の価値が乙選挙区の選挙人の1票の価値よりも4倍も高いのです。
これでは、1人に4票の投票を認めるのと価値的に同じです。
とても不公平ですよね。
「1人1票」という数的平等を価値的にも実現して国民間の不公平を是正しようという試みが「1票の格差」を巡る裁判の本質なのです。