『少年法改正論議』~【会話で深く理解】成人と同じ刑罰を科せば問題は解決するのか?~
2015年3月13日約5000字(読了≒9分)
- RIE
- せんぱ~い!
話いいですかぁ~!
せんぱ~~い!! - Taka
- おぉ、RIEちゃん!
今日はまたどうしたの?そんなに大声出して。 - RIE
- 遠くから、何度もTaka先輩を呼んでたんですよぉ。
- Taka
- 良く分かったねぇ、そんな遠くから。
- RIE
- それはもう!
いつも着けてる赤いジャンパー目立ちますから。 - Taka
- あぁ、たしかに。
で、今日はどうしたの? - RIE
- 最近、20歳未満の少年の凶悪犯罪が増えていて、そのことをきっかけに少年法を改正すべきという議論があります。
そのことについて先輩から役立つ情報を得たくて・・・
いえ、そのことについて先輩と議論をしたくて今日は来ました。 - Taka
- 本音が口から出てるよ?
- RIE
- え~と・・・
とにかくRIEとしては、18歳はもう大人だと思うんで、少年法は即刻改正すべきだと思うんです! - Taka
- えっと、少年法のどの部分を?
- RIE
- えっ?
どの部分かは知りませんけど・・・? - Taka
- ・・・
まずは、現行少年法のチェックが必要だろうね。 - RIE
- ・・・
そうですね。
先輩、お願いします。 - Taka
- はいはい。
まず、少年法は、20歳未満を「少年」と定めている(少年法2条1項)。
罪を犯した少年については、通常の刑事手続きではなく、家庭裁判所の審判に付されることになっている(少年法3条1項1号)。
そして、罪を犯したときに、18歳未満だった少年に対しては、どんなに凶悪犯で死刑が相当であったとしても無期刑しか科すことができない(少年法51条1項)。
さらに、家庭裁判所の審判に付された少年当については、「氏名、年齢、職業、住居、容ぼう」など当該事件の本人であることを推知させるような記事や写真を新聞紙などに掲載してはならないことになっている(少年法61条)。 - RIE
- つまり、現行の少年法では、いかに凶悪な少年であってもその少年が18歳未満であれば、死刑にすることはできないし、その少年の顔写真や氏名なども公表してはいけない、ということなんですよね?
- Taka
- うん、そうだね。
- RIE
- 少年だからって、保護されすぎです!
もっと犯した罪に見合う刑罰を科すべきだとRIEは思います。
なので、少年法51条1項は即刻改正すべきです。 - Taka
- RIEちゃんと同じことを言う人が最近は増えてきたのかもしれないなぁ。
- RIE
- なんなんですか!
この少年法は??
これだと少年犯罪大国日本になってしまいますよ。
いや、もうなっているかも?
今どきの少年は、自分が罪を犯しても少年法で守られているということを知っているんですから。 - Taka
- じゃあ、まずは、少年法の趣旨から見ていった方が良いかもな。
- RIE
- 趣旨は分かりますよ。
更生の可能性が高い少年の保護ですよね? - Taka
- 分かってはいるんだ!
RIEちゃんの言う通り!
『可塑性に富む少年の保護』
がその趣旨なんだ。 - RIE
- しかし、「少年」つまりは20歳未満の者って本当に『可塑性に富む」んですかね?
RIEには信じられません! - Taka
- そこは判断が難しいところだよね。
年齢だけではなく、性格・生育環境などにも影響されるからねぇ・・・ - RIE
- そうですよ!
一律に年齢で区切るから可塑性のない少年まで過剰に保護しちゃうということになるんですよ。
ここは思い切って個別に可塑性があるかどうかを検討するというように少年法を改正すべきです! - Taka
- 個別にねぇ・・・
大変なことになるよ。
そもそも一律に年齢で区切ったのは個別事情での判断が困難だからなんだよ。 - RIE
- だからといって、年齢で一律に区切るのには耐えられません!
20歳未満でも大人と同じ人はたくさんいますよ。 - Taka
- 個別事情を見ていくと、RIEちゃんが言った通りだと僕も思うよ。
それでも、少年法が20歳未満の者を「少年」と定めたのは、20歳未満の者を未成熟者とみなして成人とは別扱いをします、と宣言したことを意味するんだ。 - RIE
- なんですか、それ!
20歳未満の者の可塑性を信じるか信じないかの問題じゃないですか?
何かの宗教ですか? - Taka
- たしかに、RIEちゃんのいうように、
20歳未満の者の可塑性を信じるかどうか?の問題かもね。 - RIE
- RIEはそんなの信じません。
これだけ情報があふれた時代ですよ。昔の子供たちよりも今の子供たちの方が成熟しているとRIEは思います。 - Taka
- それはどうだろう?
たしかに、肉体的には成熟しているよね。食に困る人は昔に比べてとても減っているはずだから。
でも、精神的にはどうだろう?
今の子供たちの方が昔の子供たちよりも未成熟なんじゃないかな? - RIE
- でも、知識レベルとしても昔よりは今の方が高いはずですよ。
色々な知識をもっているから今の子供たちの方が精神的にも成熟していると思うんですけど? - Taka
- たしかに、知識量は今の子供たちの方が凄いだろうね。
でも精神的な成熟度にとって知識量は絶対的な基準にはならないと思うんだ。
知識だけじゃなく、経験も伴った知識じゃないと頭でっかちなだけで、精神的な成熟度には到底つながらないと思うよ。
精神的な成熟度は、他者との関わりの中で培われていくものだけど、今の子供たちは他者との関わりがかなり減っていると思う。
そういう状況では、今の子供たちの精神的成熟度はかなり低いとも言えるんじゃないかな? - RIE
- あぁ~、そういえば、子供たちが4人で横に並んでそれぞれがゲームをしているという場面を道端で見たことがあります。
意味わかりません。ゲームなんて1人でやるものじゃないんですか? - Taka
- さぁ?
対戦ゲームなのかもしれないね。 - RIE
- じゃ、ここは、Taka先輩が言うことを前提としたとしてもですよ、未熟だからと言って成人よりも刑を軽くするというのは、彼らのためにならないと思います。
成人と同じ刑罰を科すことで彼らに罪の意識を覚えさせる必要があると思います、RIEは!!
厳罰に処することは彼らのためでもあるんです。 - Taka
- なるほど。
ということは、RIEちゃんは、厳罰が彼ら(20歳未満の者)のためになる、ということを前提としているわけだ。 - RIE
- そうです。
厳罰に処することで彼らが罪の意識を覚えると思うんです。 - Taka
- 刑罰にそういう効果があるのかなぁ?
- RIE
- え?
ないんですか? - Taka
- ”刑罰”って、犯罪行為に対する”非難”だよね。
- RIE
- 刑法の通説はそうだと思います。
- Taka
- その非難は、国家から加えられるものだよね。
行為者(犯罪者)は自分が悪いと思っていなくても国家からそれは悪い行為だ、と非難されるわけだ。
刑罰は行為者が自分の行為が悪いと反省していようがいまいが科されるものだから、刑罰自体には行為者に罪の意識を覚えさせる効果は含まれていないといえるんじゃないかな。 - RIE
- でも、罪に対して刑罰が科されることで、自分の行為が悪い行為だったんだ、と反省するきっかけにはなると思いますが・・・
- Taka
- たしかに、非難としての刑罰がそういうきっかけになるとは思うよ。
でも、実際に行為者が反省するかどうかは、刑務所の中での教育にかかってくると思うよ。
刑法的には犯罪者の再社会化を目的とする”教育刑”の考え方が重要になるんだ。 - RIE
- そうでしょうけど、「因果応報」、「目には目を歯には歯を」で犯罪行為をした人にはそれに見合う非難をあびせたいんです。
- Taka
- まぁ、それが行為者に対する非難を基本とする”応報刑”が存在する理由だろうね。
その応報感情は強烈だから無視することはできないんだけど、でもそれが被害者やその遺族にとって負担になることだってあるんじゃないかなぁ? - RIE
- えっ?
どういう意味ですか?
たとえば、自分の家族が殺された人は、犯罪者を死刑にしてくれって普通言いますよ?
被害者やその遺族の応報感情を重視することは被害者やその遺族にとってもっとも望ましいことなんじゃないですか? - Taka
- たとえば、自分の家族がある人に無惨にも殺されたとした場合、社会はその行為者に死刑を科すべきだと言うだろうね。
もちろん、遺族も。 - RIE
- それは当然そうですよ!
誰だってそうだと思います。 - Taka
- その応報感情にしたがって行為者を死刑にするとしよう。
しかし、もしその死刑囚が自分は何も悪くない、と言って全く反省をしていない場合、遺族としてはどう思うんだろう? - RIE
- それは、ふざけるな!ですよ。
- Taka
- 遺族としては、まず求めるのは、謝罪の言葉じゃないのかなぁ?
もちろん、謝罪を受け入れることはないかもしれないけど、でも本心から謝って欲しい、と一番に思うんじゃないかと僕は思うんだ。
辛い気持ちを我慢して裁判を傍聴する遺族は法廷で被告人からの謝罪の言葉を聞きたいから、というのがあると思うんだ。 - RIE
- それはありますね。
何ら反省もしないで死刑になっても遺族としてはやりきれませんよね。
怒りをぶつける人がもういないんですから。 - Taka
- そこが遺族にとって一番辛いことだと思うんだ。
一方的に命を奪われることで被害者の尊厳を踏みにじり、そして何ら反省もせずに死刑になることで、遺族の尊厳も踏みにじる。
他者の尊厳を何重にも踏みにじることが一番許せないことだろうからね。 - RIE
- それはそうですね。
しっかり反省してもらって死刑になることが望ましいです。 - Taka
- まずは、反省させることが大切だよね。
でも、それは”非難”することだけでは難しいんじゃないかな?
犯罪者を非難し死刑にすれば応報感情が充たされるから社会的には一定の満足は得られるだろうけど、その非難で犯罪者が反省しない場合、その犯罪者を死刑にしたところで、遺族としては応報感情は充たされないと思う。
結局、非難としての死刑というのは社会の側からの応報感情を充たすことに主眼があるんじゃないかな?
もしそうだとすると、死刑は、被害者の遺族に負担を課していることにはならないだろうか? - RIE
- え~~?
Taka先輩は死刑廃止論者なんですか? - Taka
- 死刑の存廃が問題ではなくて、死刑制度が被害者の遺族に負担を課していないかどうかが問題なんだけど・・・
- RIE
- じゃ、どうすれば?
- Taka
- 犯罪者の再社会化のための実効性あるプログラムの作成、実行が重要になるんじゃないかな?
- RIE
- どうすれば良いんでしょう?
あっ、そうだ!
死刑に相当する罪を犯した人には、自分が殺した被害者と同じ状況を体験してもらうというのはどうですか? - Taka
- えぇ?
- RIE
- 被害者のその時の気持ち、
”怖い”
”死にたくない”
という被害者の気持ちを犯罪者に追体験してもらうんです。
そうすれば被害者の気持ちを身をもって理解することができるはずです。
犯罪者って被害者の気持ちを理解できない人がほとんどだと思うんですよ。
だから、自己の行為を反省する第一歩として被害者の気持ちを犯罪者に追体験してもらうわけです。 - Taka
- なるほどねぇ。
アイディアは面白いね。
でも、具体的にはどうするの? - RIE
- そうですね、バーチャルリアリティーで追体験してもらうみたいな?
あるいは、強制的にその時の状況を夢で再現させるとか?
できるかどうか分かりませんけど・・・ - Taka
- 再社会化のための教育プログラムの1つとして面白いかもね。
- RIE
- Taka先輩としては、少年法の改正を議論する前に、犯罪者の再社会化のためにもっと改善すべき点があるのではないか?と言いたいわけですか?
- Taka
- 一言で言うとそういうことかな。
特に「少年」の場合には、社会経験に乏しい分、相手の立場に立って物事を考えることができない人が多いと思うんだよ。
ということは、「少年」に成年と同じ刑罰を科す前に、再社会化の実効策を考えることがまずは最初にすべきことではないかなぁ?
死刑を科すにしても、自分の行為がどれだけ悪かったのかを認識してもらって反省してもらうことが不可欠だと思うよ。 - RIE
- そうかもしれませんけど、RIEは再社会化の実効性確保と同時に少年法の改正もした方が良いと思います。
- Taka
- そういう議論もありだよね。
まぁ、結局は”少年の可塑性”をどれだけ信じるかに帰着する気がするけどね・・・ - RIE
- なるほどです。
Taka先輩、今日もRIEにつきあってもらってありがとうございましたぁ。
ファッションのことならいつでもRIEに聞いてくださいね。
毎日同じジャンパーじゃダメですよ!
じゃ、失礼しま~す。
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