概念法学に陥る人の顕著な徴
2026年7月5日概念法学
目次
☆概念法学とは?
法を論理的に完結した概念体系として捉え、具体的事案への当てはめを純粋な論理演繹によって行おうとする思考様式です。
要は、
A=B
B=C
∴
A=C
と論理必然に出てきた結論 (A=C) をそのまま最終結論とすることです。
☆概念の実体化
法概念を単なる思考の道具ではなく、あたかも実在する物のように扱う特徴があります。「申請」「権利」といった概念自体に固有の”本質”があると考え、そこから機械的に結論を導き出します。
☆論理的整合性への過度の固執
体系内の無矛盾性・論理的美しさを、結論の社会的妥当性よりも優先するという特徴があります。
「概念甲に当てはまる以上、結論甲1が導かれるはずだ」という演繹を、その結論が現実に妥当かどうかの検証なしに受け入れます。
法が具体的妥当性を確保するための手段でもあることを理解できていないことにその固執の一因があります。
☆立法趣旨や目的の軽視
なぜその規定が存在するのか(法の目的や保護法益)を問わず、条文の文言・概念操作のみで解決しようとする特徴があります。
☆事案の特殊性への感度の低さ
個々の事件が持つ社会的・経済的文脈を捨象し、起こりもしないことを想定した抽象的思考に固執する特徴があります。
法教育において、要件効果図式中心の学習だけをしてきており、判例の背後にある利益状況を分析する訓練が著しく不足していることがその一因です。
事務経験に乏しい方にもそういう特徴が現れてきます。
☆概念法学における「概念操作=客観的」という思い込み
利益衡量や価値判断を “主観的” で危険なものとみなし、概念操作こそが法解釈の “客観的” 作業であると誤信するという特徴があります。
具体的な利益衡量には価値判断が伴うため、価値判断を避けて「論理必然」を装うことで批判を免れようとする傾向が強いです。
論理必然を装っていますが、その実、その結論で良いという価値判断を有しています。
自己の主観を客観的な装いで隠すことで、結果に責任を負わない無責任な態度を表明していると言えます。
☆概念法学のまとめ
たしかに、概念操作には法的安定性に貢献するという利点があります。その利点は否定できません。
しかし、概念法学に陥る人の問題は、概念操作をすることにあるのではなく、目的論的解釈や実務を踏まえた利益衡量を一切排除して概念操作のみで完結させようとする点にあります。
法は、法的安定性を図ることだけではなく、具体的場面での具体的妥当性を確保することも目的としていますので、法的安定性だけを重視した概念法学的解釈は厳に慎むべきです。
---終---
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