日本国旗損壊罪
2026年6月27日国旗損壊罪
目次
国旗損壊罪とは?
法律案は次のようになっています。
第九十四条の二 日本国に対して侮辱を加える目的で、国旗を損壊し、除去し、又は汚損した者は、二年以下の懲役又は二十万円以下の罰金に処する。
日本国に対して侮辱を加える目的で、国旗を破ったりする等の行為が処罰対象です。
国旗損壊罪の保護法益は?
国旗損壊罪の保護法益は、「国旗を大切に思う国民感情」とのことです。
国民感情を保護法益としても良いのでしょうか?
刑法の謙抑性
「違った価値観自体に対しては、社会は寛容でなければならない。…社会倫理の維持を刑法の任務とすることは…自己の価値観ないし自己の好む「人間像」を、法の名のもとに他人に強制することにもなりかねない。」(平野龍一『刑法 総論Ⅰ』44頁(有斐閣、1972年))
この観点からすると、
刑法は…原則として、他人に、その意思に反して重大な侵害を加え、またはその危険のある行為をした場合に限り、用いられなければならないであろう。(平野龍一『刑法 総論Ⅰ』44頁(有斐閣、1972年))
刑法上保護される感情
とはいえ、
刑法では、「死者に対する敬虔感情」(平野龍一『刑法概説』267頁(東京大学出版会、1977年))を保護法益とする死体損壊等罪(190条)が規定されています。
感情も保護法益となりうるわけです。
そうであれば、刑法上保護すべき感情と刑法上保護する必要のない感情を判別しなければなりません。
刑法上保護すべき感情vs.刑法上保護する必要のない感情
感情は人により異なるため、どういったことに不快感を持つかが人により異なります。
しかも、
不快感を持たせる行為は、行為者の思想や感情を表現する行為であることが多い(平野龍一『『刑法概説』266頁(東京大学出版会、1977年))
このような行為をどこまで刑法で処罰すべきかは、法益の面でも侵害行為の面でも微妙なものをもっている。(平野龍一『『刑法概説』266頁(東京大学出版会、1977年))
そうであれば、感情に対する侵害を処罰するには、
かつ、
である場合に限定すべきだろうと思います。
国旗損壊罪における国旗を大切に思う国民感情は?
国旗損壊罪で保護すべきとされる国旗を大切に思う国民感情は刑法上保護すべき感情なのでしょうか?
まず、国旗については、先の大戦後、日本の戦争責任を巡って国民の間で深い価値観の違いがあります。
国旗に負の感情を持つ国民は、その感情を国旗を燃やす等の行為で表現することがありますので上の②を充たしません。
また、国旗に負の感情を持つ国民は、進んで国旗を燃やす等の行為をすることがあるわけですからその行為に不快感を持ちません。
その支持者も同様です。むしろ達成感を感じるのだと思います。
そうであれば、①も充たしません。
結論
以上から、国旗を大切に思う国民感情は刑法上保護する必要のない感情となります。
したがって、ここでの結論は、この感情を保護法益とする日本国旗損壊罪を新設すべきではないということになります。
前回の投稿 同性婚を認めない現行法違憲判決は非民主的な判決か?も参照していただけると幸いです。
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