アメリカでの遺言の日本での効力(国際遺言)
2014年5月27日
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目次
問題提起
日本国籍保有者が居住しているアメリカで、アメリカの方式に従って(日本の方式には適合しないことを想定しています。アメリカでは、弁護士に遺言書(WILL)を作成してもらうことが多いので、自筆証書遺言の方式を充たさないでしょうし、公正証書遺言の方式を充たす遺言はアメリカではないのが通常です。)遺言書を作成した場合、日本で、その遺言書が有効となるか?という問題があります。
以下で、上記問題の分析結果を書いてみます(ロースクール時代の国際私法の勉強を思い出します)。
国際私法での解決
この問題も、国際私法で解決する必要があります。
「法の適用に関する通則法」(=略して「通則法」)によれば、「遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による」とあります(通則法37条1項)。
遺言能力や、遺言の権利義務については遺言者の本国法によるという意味です。
日本国籍保有者の本国法は日本法ですから、遺言能力などは、日本民法が準拠法となります。
よって、日本民法961条などにより、「遺言の成立及び効力」は判断されます。
しかし、アメリカでの遺言は、上で述べたとおり、日本法の方式を充たしていません。
そうすると、その遺言は日本民法の方式を充たさない方式の無効な遺言となるのかというと、遺言の方式については、別の法律があります。
この法律によると、「遺言の方式」は「遺言の成立及び効力」の単位法律関係には含まれません。
この法律によれば、遺言の方式が行為地法に合致する場合などは、日本でも、有効な方式となると規定されています。
よって、アメリカで遺言をした場合、アメリカ(行為地です)の方式に合致した遺言であれば、その遺言は、日本でも有効な方式となります。
結論として、上記の問題は、日本でもその遺言は効力を持つということになります(一般論です。遺言内容によっても結論に違いが出ますので、詳しくは専門家にお問い合わせ下さい)。
と、まあ、こんな感じになると思います。
裁判管轄とのからみ
しかし、アメリカで作成した遺言ですから、英語で書かれていますので、日本で効力を持つといっても、翻訳が必要になりますね。
もっとも、裁判管轄の問題もあり、日本で裁判をするのであれば、日本の国際私法が適用されることが多くなりますから、原則、上の分析結果で良いと思いますが、アメリカで裁判をすれば、今度はアメリカの国際私法が適用されることが多くなりますので、アメリカの国際私法しだいで結果が変わるかも知れません。
アメリカの国際私法は知りませんので、どうなるのでしょう?
渉外事件は難しいですねェ。
日本では、遺言書を作るのは、行政書士の仕事の1つですから、どうぞ、行政書士・真栄里孝也にご相談下さい。
守秘義務
行政書士である私には、下記行政書士法12条により守秘義務が課されておりますので、秘密をもらすことはございません。
どうぞご安心下さい。行政書士法12条(秘密を守る義務)
行政書士は、正当な理由がなく、その業務上取り扱つた事項について知り得た秘密を漏らしてはならない。行政書士でなくなつた後も、また同様とする。